お知らせ・コラム
外国人労働者の労働災害防止対策

厚生労働省の発表(2024年1月時点)では、日本における外国人労働者数は204万8675人と過去最高を更新しました。前年より22万5950人増加し伸び率でも過去最高を記録しています。ベトナムの方が最も多く51万8364人で全体の4分の1を占めており次いで、中国39万7918人、フィリピン22万6846人となっております。産業別では、製造業(55万2399人)が最も多く全体の27%を占めており、次いで建設業(14万4981人)となっております。就業人数の増加とともに、外国人労働者の労災事故の件数も増加しております。今回は、言葉の問題や外国人特有の原因での労災事故などを取り上げていきたいと思います。(労働新聞社 安全スタッフ参照)
【目次】
1.やさしい日本語を使おう
2.外国人労働者に多い事故
3.まとめと保険での準備
1.やさしい日本語を使おう
災害から守るためには、現場で働く日本人の皆さんと外国人労働者の方との会話を弾ませることが求められます。その方策として「やさしい日本語」が注目されています。やさしい日本語とは外国人に理解が進むように簡単にした日本語(小学3年生レベル)の事です。日常的に使っている言葉を「やさしい日本語」にするためのポイントを以下に示します。
やさしい日本語のポイント
① 一文を短く、「です」「ます」で終える。語尾は明瞭にして文章を区切る「ので、から、が、けれど、て、で、たら」のような接続助詞で文をつなげない
例:「安全教育を行いますのでこの椅子に座ってください」→「安全教育を行います。この椅子に座ってください」
「です、ます」は日本語教育の教科書に最初に出てくる基本形。また、ため口のような会話も控える
例:「これはあぶないよ」→「これはあぶないです」
②尊敬語・謙譲語をつかわず、丁寧語を使う。外国人にとって尊敬語・謙譲語は難しい
例:「ご記入下さい」→「書いてください」:「持参してください」→「持ってきてください」
③単語の頭にあまり「お」をつけない
例:「お弁当」→「弁当」:「お給料」→「給料」
④漢語よりも和語を使う。漢語は意味が伝わりにくいものが多い。以下のような対応を行う
例:「明日は8時に集合してください」→「明日は8時に集まってください」:「作業は4時に終了します」→「作業は4時に終わります」
⑤和製英語はあまり使わない。外国人には和製英語は理解が難しいものが多い
例:ペットボトル、ビニール(袋)、コンセント、コンビニ、クーラー、ホッチキス、サラリーマン、オートバイ、(電子)レンジ
⑥言葉を言い換え、選択し増やす別の言葉にいろいろ言い換えて理解を進める
例:「測定する」→「測る、調べる」:「ヤケドする」→「熱い水の中に手をいれる、火が身体につくとなる」
⑦オノマトペ(擬音語・擬態語)は使わない
オノマトペの例:テキパキ、がっかり、ドンドン、のろのろ、さっさと
⑧結論を先に言う。結論から先に言うと話が伝わりやすい
例:明日は雨が降りそうだから外の荷物は、中に入れて下さい→外の荷物は中に入れて下さい。なぜなら明日は雨が降りそうだからです
⑨難しい単語、言い回しは使わない
例:「納付してください」→「お金を払って下さい」:「ご用件は何ですか?」→「どうしましたか?」
⑩二重否定は使わない
例:「不可能ではない」→「できる」
⑪あいまいな表現は使わない
例:「結構です」「ご遠慮ください」
⑫答えやすい質問にする・質問文は答えやすくする。例えばYES/NOで答えられる質問にする
例:「工具はどこにおきましたか?」→「工具は〇〇、△△、□□などにおきましたか?」:「作業はいつ終わりますか?」→「明日までに作業は終わりますか?」
2.外国人労働者に多い事故
外国人労働者の労働災害事例をみていきます。切れ、こすれ災害、転落災害で外国人特有の原因についてもみていきましょう。
事例①横切機で手指を切創
木材を切る横切機に木片が詰まったので、取り除くためのスイッチを切ったが完全に停止しないうちに手を入れてしまい被災した(ブラジル経験年数六カ月)。この機械はスイッチを切っても歯が惰性で動くため、完全に停止させてから機械に触れなけらばなりません。おそらくこのことを知らなかったと思われます。
事例②ハシゴから墜落
天井配管の撤去作業での墜落災害です。はしごを梁に立て掛け、そこに乗り配管切断中、ハシゴ下部が滑り出しハシゴとともに転落し被災しました(フィリピン人、経験年数一カ月)。ハシゴの正しい使い方、しっかり固定して使用すること等を知らなかった可能性があります。
事例③カッターナイフで切創
ケースにかぶせたビニール袋をビニールテープで止め、その端をカッターナイフで切り取るときカッターナイフで手指を切りました(インドネシア人、経験年数4カ月)。カッターナイフの正しい使い方を知らなかった可能性があります。作業に追われてあわてていたり一度に大量に切断しなければならなかったりなど、日常とは異なる状況の時に災害が発生しやすくなります。
3.まとめと保険での準備
外国人労働者に事故原因を尋ねたところ「作業に集中しすぎてとっさに対応できなかった」や「早くやらなければと急いでいた」などの回答が多いようです。外国人労働者の方は日本で仕事をし始めのころ、上司や経営者に認められたいと一生懸命仕事を行う人が少なくありません。この姿勢が時にあわてるなどの無理な作業となり、被災につながっています。現場では働きぶりをよく観察し、無理な作業をしていないかチェックすることが大切になります。また、外国人労働者の仕事中のケガや通勤途上の災害まで、労災上乗せ保険の特約などでお支払いが可能です。病気の補償等も可能なので外国人労働者の方が日本で病気にかかり入院した時の補償も会社の保険で準備する事が出来ます。気になる方は是非お問合せ下さい。
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