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被災地の復旧作業でのストレス

被災地の復旧作業でのストレス

2024年は自然災害続きの年であるといわれています。地震から始まり、台風、豪雨による浸水、土砂崩れなどが立て続けに起こり、被災地では今も避難しながら仮設住宅などでくらしている方々がたくさんいます。建設やインフラ整備にかかわるお仕事をされる方で、被災地での復興作業に関わったという方もいらっしゃるでしょう。今回は被災地等の復旧復興作業で働く方々の心の問題を考えてみたいと思います。

【目次】

1.復興復旧作業者の災害メンタルヘルス

2.対応のポイントは3つ

3.今回のまとめ

 

復興復旧作業者のメンタルヘルス

2024年1月に発生した能登地震でも、復興にはまだまだ時間がかかるであろうと言われています。被災者の方はもちろんのこと、そこで復旧作業等をされる方も含めて重要になってくるのが「災害メンタルヘルス」です。災害メンタルヘルスとは、地震や台風、水害、事件・事故も含めて、災害が起きた時の人々のメンタルヘルスのことをさします。復旧、復興は確かに一日も早くなされることが望ましいですが、現場で作業にあたられながら働く方々は場合によっては長時間労働や、普段と違う環境での作業、自然災害の危険などを気にしながら働かなければならず、心身共に相当なストレスを抱える可能性があります。まず絶対にNGなのは「無理をして働かせすぎないこと」です。特に水道・電気・ガスなど人々の生活に直結する工事は働きすぎに要注意です。被災地に入られる方々は使命感や責任感を感じており、無理をしてでもがんばろうとしてしまいがちです。被災地の現場で、例えば家屋が倒壊していたり、実際避難していらっしゃる方々の姿を目の当たりにすると、それだけで心は大きく動揺し、気持ちが平常ではいられなくなることがあります。被災地が一日でも早く復旧できるようにと、不眠不休で作業をしたりすることもあるようです。それはとても尊い気持ちではありますが、疲労が蓄積して体調を崩すリスクもあります。過重労働にならないように、現場監督やリーダーが適切に体調などを見極めてコントロールしていくことが大切です。

対応のポイントは3つ

2024年4月から建設業でも時間外労働の上限規制が適用されていることは、こちらのコラムでも何度か情報提供させていただいています。しかし「災害時における復旧および復興の事業」に関しては4月以降も引き続き適用外になっています。現場の労働者が通常と違う環境で、また平常時とは違う気持ちで長時間働くことは、体調を崩すリスクとなります。管理監督者がそれらを理解したうえで、しっかりと休める体制を作ることが大切です。その他、復旧作業をするにあたり、以下の3つの対応のポイントを押さえておきましょう。

1.事前に被災地での心の状態の変化についてレクチャーする

現場に行く前に、心境の変化の可能性について会社側が言及しておくことが大切です。被災地に行って惨状を目の当たりにしたら、前述のように冷静ではいられなくなる可能性があります。人を助けたいという気持ちはもちろん大切なことなので、それを肯定したうえで、無理をしてしまう可能性があるので気を付けようということを前もって教えておく必要があります。

2.他者の経験に共感し過ぎてストレスになる、共感疲労についての注意

被災地にいる方々から、家に住めなくなった、家族や友人が亡くなったというつらい話を聞くことがあります。そのような話を聞けば誰でも相手の感情に引きずられて悲しくなってしまいます。その際、せめて話だけでも一生懸命にきいてあげようとする人ほど、相手に深く共感してしまい、自分の心もどんどん苦しくなっていきます。これを共感疲労といいます。相手に親身になってしまう気持ちはとてもよくわかりますが、自分の心の中では「問題を切り分ける」「相手に起こったことと自分の状況との間に線を引く」などをすることで、自分の心を守るようにしましょう。

3.事後に、現地での辛さなどをシェアリングできる機会を設ける

被災地での作業でこんなことが大変だった。また環境面で暑かった、寒かった。被災者の話を聞いてとても辛くなった等々、被災地での作業であったことを、帰ってきたあと経験者同士で語らう「事後のシェアリング」も大切です。辛かったことを自分の心の中だけにとどめておかず分かち合うことで、他の人も同じような気持ちだったことに気づき、ほっとしたり心が軽くなったりすることがあります。短い時間でもよいので、そういう気持ちをシェアできる場を設ける事で、気持ちに区切りをつけ、日常に戻りやすくなります。

今回のまとめ

使命感がある時こそ、作業をする本人も周りも冷静になって、本当に無理をしていないかと気にしてみましょう。自然災害等の復興には時間がかかります。長い目で見た時に、復旧作業者が心も身体も健康な状態でいたほうが、高いパフォーマンスを発揮できるものです。無理をして働き続けたのに実はそれほど成果が上がっていなかった、作業者が心や体を壊してしまった、では元も子もありません。災害大国日本では、今後も様々な自然災害等が起こると予想されています。自社のBCP(有事の際の事業継続計画)対策への備えや、被災地での作業などが予想される職種では、従業員の心身の健康を守る取組みについても準備しておきましょう。自然災害への備えや従業員が健康を害した時に備えたいという方は、ぜひお近くの代理店までご相談ください。

 

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