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熱中症にかかり工事現場で意識失い、頭部を負傷

熱中症にかかり工事現場で意識失い、頭部を負傷

7月、8月は連日記録的な猛暑がつづき、熱中症で搬送される方の人数も毎年増加の一途をたどっています。2023年の愛知県内の熱中症患者は5422名でそのうち半数以上の2807名が65歳以上の高齢者が占めています。次に多いのが18歳以上65歳以下の成人で1995名の方が搬送されています。当然、仕事中に熱中症に罹患してしまうケースもありますが、その災害が労災認定されるかはいくつかの要素により判断されるようです。今回は熱中症による労災認定の事例と対策等について触れていきたいと思います。

【目次】

1.建設現場での熱中症で労災認定

2.事業主の責任

3.今回のまとめ

 

建設現場での熱中症で労災認定

建設現場の熱中症の事例(労働新聞社安全スタッフ 7月1日号参照)

災害のあらまし

建設会社に勤務する社員A(45歳)は真夏の工事現場で熱中症にかかり、意識を失って転倒し、頭部に重傷を負った。Aは道路工事の現場監督を担当しており現場の進行状況を確認していた。

判断

労働基準監督署は現場の状況などから業務と事故の因果関係を評価し業務中の出来事であると判断。業務上の災害として認定した

業務災害に該当するか否か

業務災害に該当するか否かの判断は業務遂行性と業務起因性の2つの要件により判断する。業務遂行性とは労働者が事業主の指揮監督の下で業務を行っているかどうかを指し、労働者が業務時間中に職場で作業を行っている場合に業務遂行性があると判断される。これは労働契約に基づく労働者の義務として行われる行為であり、事業主の指揮監督下にある為である。今回の事故では、道路工事の現場監督として炎天下の工事現場で指示をだし、進行状況を確認していた際に熱中症を発症した。Aが行っていた活動は工事現場の監督業務であり事業主の指示の下で行われているものであるため業務遂行性に疑いの余地はない。例えば業務中に重いものを持ち上げて腰を痛めた場合や化学物質にばく露して健康被害を受けた場合などに業務起因性が認められる。建設業における熱中症は、特に夏季の屋外作業において頻発する災害であり過酷な環境での作業が原因で発生することが多い。Aは意識を失って転倒し、頭部を被災したがその意識障害の原因は、現場の過酷な作業環境に起因する熱中症によるものであることが明白だった。したがって本事例の災害は「業務起因性」も認められるといえる。

業務起因性が認められないケースも

労災認定の判断は、災害が発生した場所と時間、そして労働者が業務の遂行に関連する活動を行っていたかどうかが重要な要素となります。具体的には工事現場で作業指示を行っている最中や、進捗状況を確認している際に発生した災害は業務中の災害として認定されやすい。しかし、業務中であっても私的な行為や業務とは無関係な行為中に発生した災害については業務の起因性が否定される可能性がある。例えば休憩中に個人的な用事で転倒し負傷した場合や業務と無関係な行動をしたことによる負傷は労災と認められない場合がある。そのため労働者や事業主は災害が発生した際には、その状況を詳細に報告・記録し業務中の事故であることを証明することが必要である。

事業主の責任

事業主には、労働者が安全に業務を遂行できるようにするための措置を講じる義務があり、特に過酷な環境下で作業を行う労働者に対しては、適切な休憩時間の確保や水分補給の指示、適切な作業服の提供など熱中症予防策を講じることが求められます。労働者が工事現場での業務中に熱中症による災害に遭った場合、その災害が労災保険の適用範囲に含まれるかどうかを判断するためには、前述したように様々な要件を慎重に考慮する必要があります。万が一の際に業務中の事故であることを示すため、可能な限り災害が発生した状況を詳細に記録・報告し業務遂行性と業務起因性を証明することが求められ、これにより労災保険の適用が円滑に行われ、労働者の権利が適切に保護されることが期待できます。

労災上乗せ保険

労災保険の上乗せの補償として任意労災とも呼ばれる民間の上乗せ保険に多くの会社が加入しています。単純なケガだけでなく、業務が原因で発症した業務上疾病や熱中症なども補償できる内容のものが増えてきていますが、中には業務上疾病や熱中症などの補償が出来ない商品もありますので補償内容は確認しておく必要があります。また、熱中症では、死亡災害や重度後遺障害が残るような重大な事故に発展してしまう可能性も高いので、死亡保険の金額や後遺障害の金額、使用者賠償責任保険の有無や設定金額なども踏まえて適宜、見直しを行う必要があります。

今回のまとめ

会社は労働者に安全な職場を提供する義務(安全配慮義務)がありますが、この猛暑で日中に屋外で作業を行う場合はどうしても過酷な労働環境下となってしまいます。朝の早い時間や夜間工事など時間帯の変更などで工夫出来る現場もあれば、難しい現場もあると思います。工期も迫ってくると現場で十分な休憩時間の確保が難しくなり、長時間労働に繋がりやすくなるので、余裕をもって計画をすすめてもらいたいです。また建設業界だけでなく社会全体でも理解が必要だと思います。

 

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