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企業に求められる「ダイバーシティ経営」とは
最近よく耳にする「ダイバーシティ」という言葉。日本語にすると「多様性」「相違」などと訳されます。ビジネス分野においては人材の個々の特性を生かし、それぞれの能力が最大限に発揮される機会を提供することで、価値創造につなげていくことを「ダイバーシティ」経営であるとしています。私達がもつ様々な違い、(性別、年齢、身体能力、国籍、言語、価値観、性自認)は、時に大きなイノベーションを生み出します。今後の企業経営にはどのようなことが求められているのでしょうか。
【目次】
1.ダイバーシティ経営が求められる3つの理由
2.各企業の取り組み例
3.ダイバーシティ経営の課題
4.今回のまとめ
ダイバーシティ経営が求められる3つの理由
ダイバーシティ経営が求められる背景には以下のようなことが考えられます。
【理由1】市場のグローバル化
近年グローバル化の進展で、国外の企業との競争も激化しており、外部環境の変化スピードも増しています。今までの日本企業や社会における「あうんの呼吸」「忖度」「出る杭は打たれる」という特徴は、結束力が強く物事がまとまりやすいというメリットはありますが、排他性が高く自由な発想や行動が生まれづらくもあります。日本企業のこういった体制を変えて自由で革新的なイノベーションが求められているといえます
【理由2】顧客ニーズの多様化
人々のライフスタイルは目まぐるしく変わり、消費行動やニーズも細分化されています。そうした環境のなかで、人々に広く支持されるもしくは一定層に深く刺さる商品やサービスを提供していく必要があります。
【理由3】少子高齢化
日本は少子高齢化の進行が早く、すでに従来の男性中心、フルタイム勤務前提の労働条件では人材不足を補うことはできません。女性、シニア、障がいをもつ人など、多様な人が多様な働き方ができる体制を整えることが求められます。
各企業の取り組み例
各企業は、どのようにダイバーシティの推進に取り組んでいるのでしょうか。ここでは、先行事例を紹介します。
事例1.大手電機メーカーP社
女性社員を対象に「キャリアストレッチセミナー」とよばれるマネジメントスキルの向上を目的とした研修を実施したり、短時間勤務で育児や介護と仕事の両立を図るための「ワーク&ライフサポート勤務」を導入したりしています。これにより、女性管理職の増加や迅速な顧客対応の実現に成功しています。
事例2.精密機器製作所K社
自動車や航空機のエンジン部品を製造している同社では、若手技術者の不足が問題視されていたため、海外における優秀な技術者の採用を実施しました。長期にわたってベトナムの大学における新卒学生を採用し、異国での労働に配慮して配偶者の採用にも取り組みました。
事例3大手製薬会社A社
シェアオフィスやワーケーションなどを活用した働き方の多様化を推進し、社員の意識改革を積極的に行っています。また、管理職向けにイクボス(同僚や部下の育児や介護などに配慮し理解のある上司)や育児支援に関する研修を実施し、社員一人ひとりが育休や産休を取得しやすい職場の環境づくりを進めています。
ダイバーシティ経営の課題
「ダイバーシティ2.0行動ガイドライン」には経営戦略への組み込み(トップマネジメントのコミットメント)、推進体制の構築、ガバナンスの改革、全社的な環境・ルールの整備、管理職の行動・従業員の行動・意識改革、労働市場・資本市場への情報開示と対話などのアクションが記されており、これらを実行することでダイバーシティな組織に近づくとされています。ダイバーシティは企業に競争力を高めるメリットをもたらしますが、多様性を孕む異質性の高いチームでは職場での軋轢や誤解が生じやすくなります。ダイバーシティの課題のひとつは、あらゆる異質な要素がトラブルの原因となり摩擦や葛藤を引き起こすことです。単に多種多様な人材を採用するだけでは、かえってデメリットが生じ、その結果、チームの生産性やパフォーマンスが低下してしまうのです。実際、「異質なチームであるだけでは高い生産性や仕事の質は約束されない」という調査結果が報告されています。重要なのは、制度を充実させ多様な人材を「採用・定着」させるだけでなく、全社員の態度と行動にダイバーシティの尊重を反映させ、様々な違いを「受容する企業風土」を築くことです。そのためには全社員のダイバーシティへの正しい理解と適切な行動を促進する教育や意識改革が不可欠となるのです。
今回のまとめ
自社がどうありたいのかを明確に描き、実現のために必要な人材獲得、組織づくりに動くことが、ダイバーシティ経営の第一歩です。また多種多様な人々を雇入れる際に働きやすさ、福利厚生制度の充実は、求職者への大きな訴求ポイントとなります。民間の保険の中には労災の上乗せ保障として従業員のケガや病気に備えられるものがあります。また、多種多様な人間を雇うことは潜在的な雇用リスクにもつながるので、そういった面での補償もそなえておくとよいでしょう。制度面を整えながら、自社なりのダイバーシティへの第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
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