お知らせ・コラム
生活に欠かせない仕事 電気工事業とは
照明の取り換え中に作業員が感電して死亡した事故で、〇●県警は2022年8月、一緒に作業をしていた電気設備会社員の電気工事士の男性を業務上過失致死容疑で書類送検した。発表では、2021年7月、北九州市内工場で、同僚と照明を取り換える仕事を実施。ブレーカーを落とさずに作業し、同僚を感電死させた疑い。男性は調べに対し、「作業効率を優先させたかった」と容疑を認めているという。
(2022/8/11 読売新聞オンライン 参照)
私たちの生活に欠かせない『電気』インフラ設備の整備等事業者から家の電球の交換等幅広い電気屋さん。今回は、仕事の内容や資格、過去の事故事例等から、電気工事業とはなにか、見ていきます。
【目次】
1.電気工事ってどんな工事?
2.資格について
3.事故事例をみてみましょう
4.今回のまとめ
電気工事ってどんな仕事?
電気工事とは国土交通省の告示によると、「発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事」とされています。具体的には電柱の送配電線や建物に引かれる内線の配線工事などをあげることができます。また近年では、LED照明を設置するLED工事や太陽光発電のために太陽光パネルを取り付ける工事、IHクッキングヒーターやエコキュートのようなオール電化設備を導入する工事なども電気工事として行われています。また、建設業法という法律の第3条3項に基づいて決められている、国土交通大臣や都道府県知事から建設業許可を取らなければ工事ができない29業種のうちの1つです。電気工事業の建設業許可を取得する要件としては、経営業務の管理責任者の設置義務などの共通要件の他に、専任技術者の要件を満たす者がいなければなりません。電気工事業における専任技術者になるためには、1級(または2級)電気工事施工管理技士、第1種(または第2種)電気工事士(ただし資格取得後3年実務経験が必要)、1種(または2種、3種)電気主任技術者(ただし資格取得後5年実務経験が必要)、技術士(建設・総合技術監理、建設「鋼構造及びコンクリート」・総合技術監理、電気電子・総合技術監理)、建築設備士(ただし資格取得後1年実務経験が必要)、1級計装士(ただし資格取得後1年実務経験が必要)のどれかの要件を満たしている必要があります。特定建設業許可の場合は、1級電気工事施工管理技士か、いずれかの技術士であることが専任技術者の要件となります。
資格について
電気工事士は、電気工作物の工事を実地で行うことができる資格のことであり、第一種電気工事士と第二種電気工事士に分けられます。第一種電気工事士は、500kw未満の自家用電気工作物(工場やビル、高圧受電の店舗などの事業用電気工作物のこと)や一般用電気工作物(一般家屋や小規模店舗の電気設備のこと)の工事に従事することができます。第二種電気工事士は一般用電気工作物の工事にしか従事できません。第二種電気工事士が従事できる工事は小規模の工事のみということになります。「電検」または「電検三種」は、電気工事に関わる職種の一つである電気主任技術者の略称です。「電検」という略称は、電気主任技術者になるのに必要な資格である「電気主任技術者試験」に由来しています。電検という仕事は、事業用電気工作物の工事・維持・運用の保安監督をします。漏電や感電など電気が関わる事故が起こらないように管理を行う仕事です。第一種、第二種、第三種の3種類があり、番号が小さいほど扱える電気工作物の規模が大きくなります。具体的には、第三種は5万V未満の電気工作物、第二種は17万V未満の電気工作物、第一種は全ての電気工作物を扱えます。電気工事施工管理技士は、電気工事の工程・品質・安全の管理・監督を仕事とし、一級電気工事施工管理技士と二級電気工事施工管理技士の2種類があります。一級二級共に、現場ごとに置く主任技術者や一般建設業の営業所ごとに置く専任技術者になることは可能ですが、特定建設業の営業所ごとに置く専任技術者や、監理技術者になれる資格を持っているのは第一種だけです。
事故事例
高圧線鉄塔補強工事のため、地上40mの高さでアーム部材を切断し、サンダーで仕上げを行なっていたところ、養生不足のため、鉄粉が飛散してしまい、近隣の民家の屋根や駐車車両等に付着してしまった。 19,685,231円
宿泊施設の通信工事で、工具で配線を引っ張り作業をしていた際に塩ビ製の給湯管に工具があたり給湯管を破損、水漏れが発生し、施設の建物損害および休業損害が発生した。 17,124,333円
照明工事のため、自社で仕入れた資材と元請からの支給資材を、工事現場に保管していたところ、強風の予報があるにも関わらず十分な養生・固定等を行わなかったために飛散し破損させてしまった。 8,991,564円
LEDライト設置工事で、施工ミスにより引き渡し後にLEDライトのケーブルから出火し、請負範囲外の外壁と設置したケーブルを焼損させた。 6,321,447円
電気設備点検終了後、作業のために落としていた冷凍庫用のブレーカーを戻し忘れたため、引き渡し後に庫内の冷凍食品が腐ってしまった。 4,528,071円
電柱新設後にケーブルを新設柱へ移動させようと旧柱からケーブルを外した際、誤って張力をかけ過ぎてしまい、同ケーブルから直接建物へ引き込んでいる家屋の引込線接続部周辺の外壁が剥がれ落ちたうえ、下に停めてあった車両に接触して破損させた。 2,145,289円
元請から支給されたネオンサインの設置工事中、過電流によりその設置しているネオンサイン自体を破損させてしまった。 1,088,021円
(AIG損害保険株式会社 事故事例集 参照)
今回のまとめ
許可や専門資格の多い電気工事業。冒頭のニュースや事故事例のように、専門職の方がどんなに注意していても、少しの油断等から事故は起きてしまいます。万が一の事故対応や、事故が起こらないよう安全対策、マネジメント対策等、法人専門に対応している保険会社もあります。お近くの代理店へ一度、相談してみてはいかがでしょうか?
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