お知らせ・コラム
建設機械の安全対策について
建設現場で活躍する様々な建設機械。しかしご存知のとおり、建設現場では建設機械による労働災害が数多く発生しています。建設業の死亡災害データを見ると、建設機械による事故がおよそ4割と、とても高い割合を占めています。このような事態を防ぐにはどうしたらよいでしょうか。
【目次】
1.建設機械が突然凶器に変わる
2.建設作業機械による事故例
3.重機による事故対策の盲点
4.今回のまとめ
建設機械が突然凶器に変わる
建設現場で活躍する様々な建設機械、例えばこのような機械があります。
【土木工事】
・バックホウ ブルドーザー・ダンプトラック
【舗装】
・タイヤローラー
【クレーン作業】
・移動式クレーン クレーン式バックホウ
その他にも、高所作業車、コンクリートポンプ車、動力式草刈り機、乗用集草機除雪車、基礎工事用機械、解体工事用機械などなど、様々な建設用機械があります。しかし先ほどもいったように、これらに巻き込まれたり墜落、転落して、とても多くの方が亡くなっています(乗用車、船を含む)。建設機械は使い方を誤ると凶器に変わり、ひとたび巻き込まれれば死亡事故につながる可能性があります。たとえ小型の機械でも巨大なパワーがあり、はさまれたり巻き込まれてもすぐに止まることはできません。このような事故から身を守るには過去の痛ましい災害から学び、現場で働く一人一人が建設機械の怖さを十二分に理解することが大切です。
建設作業機械による事故例
平成29年、平成30年の建設業の死亡者数は合計632人となっており、このうち建設機械による災害は257人と41%近くを占めています。建設機械の災害といえば、はさまれ、巻き込まれ、激突など思い浮かびますが、それ以外にも建設機械の転落、飛来、落下など様々な事故の型があります。死亡者数を事故の型別にみると、交通事故が最も多く82人、次いではさまれ、巻き込まれが57人、墜落・転落が39人、激突33人、飛来・落下が28人と続きます。近年の建設機械による事故例を見てみましょう。
□バックホウの転倒
河川内の仮設道路上で大型土のうを吊り上げ坂道を下っていたバックホウが路肩でバランスを崩し転倒。運転者がバックホウの下敷きになり死亡しました。事故原因として、元請が下請けに対して労働安全衛生法の規定に違反しないような必要な指導を行っていなかったこと。定格荷重を超える重さの土のう設置作業を行ったことがあげられています。
□ドラグショベルへの挟まれ
ごみ焼却施設の建設工事現場において、作業員が資材運搬中に煙突とドラグショベルの間に挟まれ死亡しました。当時誘導員等が配置されておらず、また危険区域への立ち入り表示等もなく、安全教育が不十分であったとされています
□コンクリートホースの激突
道路改良工事においてコンクリートポンプ車を用いて生コンクリートの圧送作業を行っていた作業員が、生コンクリートが輸送管の途中でつまったためこれをとりのぞこうとして輸送管とホースとの接続部を切り離したところ、コンクリートが噴き出すとともにホースが大きく振れ、作業員がそのホースに激突され死亡しました。
建設機械による事故対策の盲点
建設機械がからんだ死亡災害を分析してみると、以下のようなことに注意するとより災害を減らす工夫になります。
□死亡災害が多いのは重機稼働時ではなく移動時
重機は何か作業をしている時よりも現場内の単なる移動等直接作業をしていない時の事故が多い。
□重機の作業半径内をバリケードなどで囲うだけではリスクは下がらない
立ち入り禁止区域などをバリケード等で囲うのは危険源の認知はなりますが、危険軽視の気持ちや、近道、省略行動本能などにより安易に立ち入ってしまい事故に巻き込まれるケースがあります。監視員を配置するなどで「誰も立ち入らせない」ようにすることが重要です。
□バックホウは旋回、後退時だけでなく前進時にもリスクがある
後方、側方に死角が多いのはもちろん前進時にもオペレーターは注意が必要です
□工期を優先して安全がおろそかになる。
工期を厳守しようとすると、安全が二の次になってしまうことがあります。安全と施工は一体であるという信念を現場リーダーが持つこと大切です。
今回のまとめ
今回は建設機械による様々な事故例をご覧いただきました。建設機械による事故は重傷や死亡災害となるケースも多く、労災保険からの補償だけでは被災労働者の被った損害の全てが補填されるとはいえません。また労働災害により死亡した場合、会社が遺族側から使用者としての安全衛生管理責任を問われ、訴訟の提起によって多額の賠償金を支払うことも考えられます。今一度自社の安全衛生教育、機械の適切な使用方法などを見直すと共に、万が一の事故に対して万全な補償を備えておくことも大切です。労災の上乗せ保険では働く方の仕事中のケガ、病気に備えるもの、また労災事故において会社が使用者賠償責任を問われた際に、訴訟費用や弁護士費用、賠償金などを補償することができるものがあります。ぜひお近くの代理店等でご相談ください。
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