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現状に即したBCPを考える

現状に即したBCPを考える

これまでも度々BCP(事業継続計画)や事業継続力強化計画について触れてきましたが、計画の策定にとどまっている場合が多く、BCPが「絵に描いた餅」になっているのが現状です。経済産業省においても、そのような状況を踏まえて「計画内容の実効性を高めること」「想定外の事象に対する経営判断能力を高めること」が課題であるとしています。今回は、時代とともに変化している最新のBCPについての情報を提供させていただきます。

【目次】

1. これまでのBCP

2.新たなBCPの考え方

3.今回のまとめ

 

これまでのBCP

大規模地震や台風・豪雨などの災害、感染症など企業を取り巻く脅威の頻度や被害範囲は年々増加しています。高度成長期といわれる1950年代~1980年代にかけての昭和時代においては事業の拡大やインフラの整備を重点的に行ってきたため、自然災害による被害に遭遇してもその対策を含めてハード面を強化することで企業を成長させてきました。その後の1990年代~2010年代はICTの進展・普及により効率化と集中化、コスト削減にシフトしてきた平成の時代であり、この期間に発生した阪神淡路大震災をきっかけに初めてBCP策定のガイドラインができています。その後、東日本大震災や熊本地震、新型コロナ感染症といった災害・脅威に対応していくこととなり、2020年代の令和時代はIOTの普及やAIの進化とともに変化への対応力や柔軟性、対応スピ-ドが求められる常態的な不安定期に突入しています。昭和時代には平時の対応の延長線上として対応できていた有事への対応が、平成になりコンプライアンスの強化やリスク管理を求められるようになったことで平時の備えに加えて有事への備えもしていく形に変化してきました。それが令和となった現在では、常に脅威である有事ありきの考え方の中に平時があるといった考え方に変化しています。大規模地震や台風・豪雨などの災害や感染症、事故やテロといった企業にとっての脅威がなくなることはありません。驚異の発生頻度や被害範囲が拡大している現在においては、ICTの激的な進化による効率化・情報伝達スピ-ドの飛躍的進展により、社会や企業の経営環境(サプライチェ-ンの高度化・インフラの老朽化など)が影響(被害)範囲を爆発的に拡大させる要因となっています。脅威(危険)が発生し企業活動が停止した際の影響も増大しており、同じ停止時間であっても1990年代、2010年代、2020年代では被る損失が飛躍的に拡大しているのです。このように企業を取り巻く環境が大きく変化している中で、従来のBCPが本当に役立つのか?という疑問が出てくるのは当然なのではないでしょうか。

これまでのBCPは電気やガスなどのインフラ事業者を想定した計画であり、同様に対応可能な一部の大企業を中心に策定されてきました。しかしながら、そのBCPを本当に理解しているのは策定に携わった外部のBCPコンサルタントと言われる人々や社内のBCP担当者のみであり、経営者ですら内容を把握できていないというケ-スは決して珍しいことではありません。今私たちに必要なのは、策定基準に沿った「計画書」を完成させることが目的の事業継続計画ではなく、実態に即した事業継続力の強化が必要であることがおわかりいただけたのではないでしょうか。

新たなBCPの考え方

新たなBCPの考え方は「事業継続力」の強化であると述べましたが、「事業継続力」とはどのようなものなのでしょうか。事業継続力とは、「想定外の事態においても企業・組織の持続的発展を支える力」です。想定外が常態化しつつある現代において、不測の事態が発生した時に企業・組織が価値提供を継続し、かつ更なる価値の向上へつなげる力が「事業継続力」であり、①人命安全確保②早期の復旧再開③変化への迅速な適応を実現する柔軟性の3つの要素で構成されています。当然、これまでのBCPと同様に自社の脆弱性を把握することで被害を最小限に抑えるといった対策は必要ですが、様々な脅威に個別で対策を講じるには莫大なコストがかかります。費用対効果が高く、平時の競争力に繋がる対策が必要となりますが、そのためにはまず様々な脅威に対して自社の抱える脆弱性を把握しておかなければなりません。直面する可能性の高い重大な脆弱性についての対策をまず実施し、次のステップとして様々な脅威に共通的に対応できる費用対効果の高い対策を実施します。短期的な視点ではボトルネックの「耐震・免振」や「二重化」といった対策もありますが、資源を固定化することは変化を妨げる要因にもなり得ます。復旧に長時間を要する特殊な資源や業務プロセスを見直し、設備やプロセスを標準化・外部化することで外部環境の変化に柔軟に対応可能な組織へ変化させることが競争力の強化にもつながるのではないでしょうか。そして何よりも大切なのは、有事の際の対応力の強化です。これまでのBCPでは、想定内の被害が前提のリスク管理手法でしたが、原因も発生も予想できない想定外の事態が発生した際に、いかに早く対応し、被害を制御できるかといった出たとこ勝負前提の迅速かつ柔軟な事後対応力を誰かに頼るのではなく、ひとりひとりが身に着ける必要があるのです。

1時間の初動の遅れが10日、1日の遅れが1か月事業再開を遅らせると言われています。初動スピ-ドを上げるためには、全員で訓練し続けるしかありません。どんなに完璧な計画を作っても、その通りに対応することは不可能です。文書作成が目的化したBCPや現場で認知されていないBCP、マニュアル通りの形骸化した訓練や場当たり的な改善策の提案といった取り組みは継続が困難です。継続し続けることが出来るシンプルな対策に全員が自分事として取り組むことが事業継続力の強化に繋がっていくのです。

今回のまとめ

経済産業省HPにおいても、事業継続力を高めるためには計画内容の実効性を高めること、想定外の事象に対する経営判断能力を高めることを課題としており、危機対応演習(シナリオ非提示型訓練)を紹介しています。保険会社や代理店によっては、事業継続力診断士による脆弱性の診断や訓練サービスを無料(有料サービスもあり)で取り扱っています。建物や設備の損害、収益の減少には火災保険で備えることができますが、初動の遅れや復旧の遅れにより拡大した被害・損害の全てを保険だけで賄うことは出来ません。保険による備えはもちろん、事業継続力の強化について詳しく知りたいという方は、お近くの保険代理店までお気軽にお問い合わせください。

 

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