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派遣業法の改正と損害保険について

派遣業法の改正と損害保険について

年々、派遣業界の存在が大きくなってきており、日本社会においてなくてはならない存在になってきました。正社員やパート、アルバイトに混じって派遣スタッフが働いている事も珍しくなく当たり前のことになってきています。

今回は、派遣業法の改正と派遣元が加入しておくと望ましい損害保険について簡単にご案内していきたいと思います。

【目次】

1.派遣社員にも同一労働同一賃金への対応

2.派遣労働者が死亡、派遣先が書類送検

3.派遣業さま向けの損害保険

4.今回のまとめ

 

派遣社員にも同一労働同一賃金への対応

2020年1月、2021年1月と4月に派遣法の改正が行われました。「同一労働同一賃金」の実現を目的とした改正になります。基本的には就労形態に違いがあっても非正規労働者(派遣労働者、パート、有期雇用労働者)同士の間で、できるだけ待遇上の差異が生じないように工夫が凝られています。賃金関連以外でも次の様な変更点があります。

①教育訓練の実施

派遣先は派遣元の求めに応じ、派遣先の直用労働者を対象とする教育訓練を派遣労働者にも実施する等の措置を講ずる義務を負います(強制義務)。

②福利厚生施設(給食施設・休憩・更衣室)

派遣先は、上記3施設について派遣労働者にも同様に利用できる機会を与えなければなりません(強制義務)

③福利厚生(給食・休憩・更衣室以外)

上記3施設以外は与えるように「配慮する」義務をおいます(配慮義務

④派遣元への情報提供

均等・均衡の確保のため、派遣元は派遣先労働者に対する情報や派遣労働者の勤務状況に関する情報(派遣元の考課査定に利用)を提供するよう配慮しなければなりません(配慮義務)

 

このほか就業規則の作成手続きに関しても、パート・有期雇用労働法と横並びの改正が実施されています。

労基法上、「全労働者」の過半数の代表から意見を聴くことが就業規則を作成・変更する条件とされています。改正派遣法ではそれに加えて「派遣労働者」の過半数の代表者の意見聴取も求められます(努力義務)

・法改正により労働派遣業においても雇用や労使トラブルの増加の可能性も!?

派遣先・元と派遣労働者の間で均等・均衡ルールに関するトラブルが生じたときは労使間の自主解決を原則としつつ、都道府県労働局長の助言・指導を求め、紛争調整委員会の調停を受ける事が出来るようになりました。

 

派遣労働者が死亡、派遣先が書類送検

茨城・筑西労働基準監督署は、令和2年7月に発生した死亡労働災害に関連して茨城県築西市の農業協同組合と同組合の支店の審査役を労働安全衛生法第21条(事業者の講ずべき措置等)違反の容疑で水戸地検下妻支部に書類送検した。高さ約4メートルに積まれたビニール包装の袋物である「はい(倉庫などに積み上げられた荷の集団)」の崩落防止措置を講じなかった疑い。

労働者2人が穀物の入ったフレコンバックの移動作業を行っていた際、フォークリフトで作業していた労働者を補助するために付近にいた派遣労働者が崩落したフレコンバックの下敷きとなり死亡している。

安衛法は、「はい」の高さが3メートルを超える場合には、「はい」をロープで縛り、網をはり、杭止めを行い「はい替え」を行うことなどを規定しているがこうした対策を一切講じていなかった疑い。同労基署によると、同審査役は「はい作業主任者」の資格をもっていたものの、対策を怠っていたという。

・派遣先に安全配慮義務違反

「はい」を積み上げる作業は危険で専門の資格を所有している者の指示に従って行う必要があります。今回のケースでは「はい作業主任者」が安全対策を一切講じていなかった為、悲惨な事故に繋がってしまいました。指揮監督命令権があると思われる派遣先が責任を問われる事になります。労基法違反で書類送検されているので行政罰や刑事上の責任に問われてしまいますし、場合によっては被災してしまった派遣労働者のご遺族などが安全配慮義務違反で派遣先や派遣元に対して損害賠償請求を行う可能性があります。

労災事故が発生してしまった際に、誠意を欠いた対応や初動を適切に行わないと被災したご本人やご遺族との話し合いなどがこじれてしまい高額な賠償金を請求されてしまうケースも散見されます。

(参照 労働新聞社の記事)

派遣業さま向け損害保険

派遣業さま向けの損害保険としては、人に対する補償(労災上乗せ保険など)、派遣先での賠償保険は万一に備えてご加入しておくべき保険かと思います。また近年の派遣法の改正により複雑化している雇用トラブルにも対応できる保険の加入も検討しておくべきです。

・スタッフに対する補償(労災上乗せ保険など)

派遣先や現場への移動中などでの派遣社員の作業中のケガや業務上疾病に対する備えとなります。国の労災の上乗せとして補償ですが、国の労災の使用の有無に関わらず使用できる内容の保険もあります。

無記名で全従業員を一括して補償ができるで、補償漏れを防止することができます。

死亡や後遺障害などの重大な労災事故の際には、万一の労災訴訟に対する備えにもなります。

・派遣先での賠償責任保険

派遣先や業務請負中にスタッフが物を損壊してしまったり、人にケガをさせてしまった時の損害賠償責任に対する備えとなります。特に倉庫などでフォークリフトなどを使用する場合は加入しておくと安心です。各保険会社により補償内容が違うケースもありますので注意が必要です。

・雇用トラブルに備える保険

いじめや各種ハラスメント、または意思の疎通がうまくいかずに派遣スタッフとの間に雇用上のトラブルが発生してしまう危険性は常に存在します。また、同一労働同一賃金の実現に向けて雇用関係も大きく変化してきているので、今後ますます雇用トラブルの増加の懸念があります

今回のまとめ

派遣業では、実際に労災事故や賠償事故が発生した時に派遣元の責任なのか派遣先の責任になるのか事故の内容により判断しなければなりません。また労災事故などでは被災した派遣スタッフから派遣先と派遣元の双方が損害賠償請求で訴えられてしまう事案も発生しています。事故を未然に防ぐために派遣スタッフの安全教育なども大切ですし、万一に備えての保険のご準備も大切かと思います。

 

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