お知らせ・コラム
経営者が押さえておきたい病気での労災認定の基準と労災の上乗せ保険の準備
近年、職場での労災事故件数は安全意識の高まりや職場環境の改善により減少傾向にあります。しかし数十年前までは労災の認定を受ける事が少なかった、従業員さまの病気での労災認定もしく労災請求件数が、かなりの勢いで増加しております。
従業員さまの健康問題と企業の責任については様々のものがございますが、今回は厚生労働省が定めた健康問題での労災の認定基準について触れていきたいと思います。
【目次】
1.企業には労働者の心と体の両方の健康に配慮すべき義務があります
2.脳・心臓疾患での労災の認定基準は業務に起因しているかどうかがポイントです
3.労災の上乗せ保険による対策と今回のまとめ
企業には労働者の心と体の両方の健康に配慮すべき義務があります
2008年に労働契約法が施行され、労働契約に関する基本的な事項が法律として定められました。その中で企業の従業員に対する「安全配慮義務」があることが明文化されました。
労働契約法(第5条)
使用者は労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする
生命、身体の安全とは心(メンタルヘルス)と体の健康の事です。つまり企業は労働者の心と体の健康に配慮しなければならないという義務を負う事になりました。
この法律の施行をうけて厚生労働省より 脳・心臓疾患の労災認定 「過労死」と労災保険(※厚生労働省HPへジャンプします)というパンフレットが発行されております。脳・心臓疾患の認定基準の概要と「過労死」がどのように労災認定されるかにについてわかりやすくまとめたものになります。次項で内容について触れていきたいと思います。
脳・心臓疾患での労災の認定基準は業務に起因しているかどうかがポイントです
基本的な考え方
脳・心臓疾患はその発症の基礎となる動脈硬化や動脈瘤などが主に加齢、食生活、生活環境等の日常生活により形成されて、さらにそれが徐々に進行及び増悪してあるとき突然に発症するものです。
しかし、仕事が特に過重であったために血管病変等が著しく増悪しその結果、脳・心臓疾患が発症することがあります。そして仕事が原因となって発症した場合は労災補償の対象となります。仕事が特に過重であったかどうかは、3つ認定要件により判断されます。
認定要件1「異常な出来事」
例えば、業務に関連した重大な人身事故や重大事故に関与し精神的な負荷を受けた。
屋外作業の炎天下の中で水分補給や休憩を十分に取らずに業務を行っていた。
氷点下の倉庫の中など非常に厳しい作業環境下の中で長時間業務を行っていた。
上記のようなことがあると要件に当てはまります。
認定要件2「短期間の過重業務」
発症おおむね1週間以内に継続した長時間労働が認められるときや休日等が確保されてないとき。
認定要件3「長期間の過重業務」
長期間にわたって著しい疲労の蓄積をもたらす過重な業務に就労したこと。
- 発症前1~6カ月間の平均で月45時間以内の時間外労働は発症との関連性は低い
- 発症前1~6カ月間の平均で月45時間を超えてくると関連性は強まる
- 発症前1カ月に100時間、2~6か月間の平均で月80時間を超える時間外労働は発症との関連性は非常に高い
上記3つの認定要件のうち1つでも該当した場合は、個人の日常生活など別の発症要因などと照らし合わせて、業務での負荷が強いと認められれば労災認定となります。
労災の上乗せ保険による対策と今回のまとめ
脳・心臓疾患での労災の認定基準については、年々変化していくと考えられますので常に新しい情報を入手していく必要があります。また、従業員さんの労災認定が認められた場合、労災から補償が出るというプラスの面もありますが、同時に安全配慮義務違反で訴えられ労災訴訟に発展するケースもございます。そこで重要となってくるのが労災の上乗せです。政府労災には慰謝料というものが一切ありませんので、労災の上乗せ保険を準備することによって使用者による賠償を補償することが可能です。日頃から従業員さんの健康や労働時間の管理、職場の環境には十分配慮しつつ、必要保険の備えを用意しておきましょう。
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