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会社の健康診断は義務付けられています。実施せず書類送検された事例とは

会社の健康診断は義務付けられています。実施せず書類送検された事例とは

今回は、労働基準監督署が健康診断未実施違反で書類送検した事例を取り上げていきます。

健康診断の実施は事業者・労働者双方へ法的な実施義務があり、事業者に対しては①雇い入れ時 ②定期=1年に以内ごとに1回実施 ③特定業務=深夜業務従事者や有機溶剤や化学物質取り扱いなどの業務従事者は6カ月ごとに1回の健康診断を実施することを義務付けています。

事業主が従業員の健康状態の把握を怠れば、従業員の持病の悪化や病気の発生など健康障害の発生や悪化させてしまう危険性があります。実際に健康診断の未実施により書類送検された事例について紹介していきたいと思います。

【目次】

1.製造業にて健康診断未実施で書類送検された事例とは

2.深夜業務の従事者の健康診断未実施で書類送検された事例とは

3.従業員の病気も会社に責任があるのか?

4.今回のまとめ

 

製造業にて健康診断未実施で書類送検された事例とは

・事例

製造業を営む法人および取締役は、平成29年3月~平成30年10月まで勤務している従業員に対して1年に1回の一般健康診断を実施しなかった。29年の3月以降、労働基準監督署が複数回違反を指導したが従わなかった。

・ポイント

健康診断の未実施で書類送検された事例です。複数回にわたり労基署から是正勧告を受けているのに応じなかった事が悪質と判断されたようです。

実務上、この企業のように健康診断の実施拒否は稀であると思われますが、従業員に受診を促しているものの当該従業員が何らかの理由で受診しない例はあり、結果として一部の従業員が未実施となってしまう事もあります。

安全衛生法では、事業者は従業員に対して「健康診断を行わなければならない」と義務付けており、従業員に対しても「事業者が行う健康診断を受けなければならない」と義務付けています。従業員は事業者の指定した医師や病院で行う健診を受けることを希望しない場合には、別の医療機関で健診を受けその結果を証明する書面を事業者に提出することができるとされています。事業者側の責任としては健康診断を実施する環境を整えて実施を促すところまでであり、従業員が健診の実施を拒否した場合は従業員の責任になると考えられます。

深夜業務の従事者の健康診断未実施で書類送検された事例とは

・事例

運送業を営む法人および代表者は、常時深夜労働に従事する自動車運転者に対して半年に1回の健康診断を実施しなかった。その後、従業員は脳・心臓疾患に関する疾患が原因で亡くなっている。当該従業員は少なくとも2年半にわたり特定健康診断を受けておらず、過労死基準を超える労働も明らかになっており労働基準監督は過労死として労災認定している。

・ポイント

深夜業務従事者の健康診断未実施が問題となっております。さらに脳・心臓疾患に関する所見の疑いがあり、本来は過重な業務に就かせられないにも関わらず、健康診断を行っていなかったため、当該従業員の健康状態の把握をしないまま業務に就かせてしまい死亡を招いたとして書類送検されました。

脳・心臓疾患に関しては、一般の健診の実施や健診後の対応によりある程度発症を予測することは可能となります。このため仮に過労死などを発生させた場合は、長時間労働が認定できなかったとしても健康診断未実施違反で送検される可能性がある点には留意する必要があります。

従業員の病気も会社に責任があるのか?

事業主は従業員に対して安全な職場環境を提供する義務を負いますので、従業員の健康状態を把握したうえで、健康状態に不安がある場合などは過度な負担を与えない業務に従事される必要があります。そのためにも健康診断は必要であり、健康診断の実施後は以下の①から④項目を行う必要があります。

➀健康診断の結果を遅滞なく各従業員に通知すること

②健康診断の結果を作成すること

③健康診断の項目に所見が認められた場合には医師の意見を聴取すること

④医師の意見を勘案して、労働時間の短縮や作業の転換等就業上の処置を講ずることが事業者に義務付けられている

➀及びに②に関しては罰則があり③と④には罰則がないので、③と④については措置が講じられないままの場合もあります。しかし健康状態に問題があるまま放置しておくと法違反を理由として安全配慮義務違反の責任が問われる可能性があります。とくに健診項目のうち、血圧検査・血中脂質検査・血糖検査・腹囲の検査またはBMIの測定において有所見数やその程度が大きいほど、脳・心臓疾患が発症しやすいため③および④の事後措置は確実に行いたいところです。

今回のまとめ

健康診断の結果などは、プライバシーの問題や従業員さんが周りに知られたくない事柄もあると思うので事業主側が全従業員の健康状態を把握し、さらに改善に向けて対応していくのは容易な事ではないと思います。しかし長時間労働や業務内容により従業員さんの持病が悪化し重大な疾患を発病してしまった場合は安全配慮義務違反で責任を問われる可能性があります。健康診断の実施と事後措置はもちろんのこと、普段からの人間関係の構築や職場の雰囲気の改善など従業員さんが困った時に相談しやすい環境を整備しておく事も重要かと思います。

また、保険を活用して万一の労災訴訟に備えたり、従業員さんの病気の補償を福利厚生として導入する企業様も増えてきていりますので、気になる方は一度ご相談ください。

 

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