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損害賠償額の高額化【もはや1億では足りない時代です】

損害賠償額の高額化【もはや1億では足りない時代です】

建設業・製造業・運送業など仕事中に労災事故が発生してしまう危険性が比較的高い業種では、国の労災保険以外に労災上乗せ保険や使用者賠償責任保険に加入して万が一の事故に備えている企業様も多いと思います。また最近では、過労死や病気労災など仕事中のケガ以外での労災申請も増加しており、小売卸売業やサービス業、IT業などにおいても労災上乗せ保険等にご加入される企業様の割合が増えてきています。

ただ、労災訴訟に備える保険としての使用者賠償保険の保険金額が1憶円まで補償する内容が多いですが、最近の労災訴訟の判例では1憶円では足りない事例が発生しており、2億円や3億円の補償金額で設定することが望ましいです。

今回は建設業で実際に発生した労災訴訟の事例を紹介しながら使用者賠償責任保険の保険金額の考え方についてご案内します。

【目次】

1.使用者賠償責任保険に1憶円加入も4200万円の自己負担が発生

2.労災訴訟の賠償金の高額化の8つの要因

3.今回のまとめ

 

使用者賠償責任保険に1憶円加入も4200万円の自己負担が発生

今回は保険会社の実際の支払い事例の中から、国の労災には当然に加入した上で民間の労災上乗せ保険、さらに使用者賠償責任保険に1憶円加入していながら、建設業の事業者が労災事故により4200万円もの自己負担が発生した事例についてのご紹介になります。

労災高額事例

仮設足場工事業の事故概要

足場を組み立て作業中に4メートル下に落下。

足場を補強する筋交を設置するために、邪魔になる足場を取り外したところ、別の作業をしていた被災者が足場がないことに気づかずそこから転落。

・被害者 男性20歳

・傷病名 第5~6頸椎破裂骨折、頸髄損傷、両大髄骨骨折、右膝蓋骨骨折など

後遺障害 4年間の治療後に四肢麻痺・膀胱直腸障害(後遺障害1級)

・賠償請求額 ¥267,000,000(訴訟時)

賠償請求額(内訳) 逸失利益9100万円 後遺障害慰謝料2800万円 将来介護費用6800万円 家屋等改造費用2400万円等

・解決金額 ¥150,000,000(4年後に和解)

・保険金のお支払額 

労災上乗せ保険(傷害保険) 1300万(後遺障害保険金等)

使用者賠償責任保険    1憶円(保険金額限度額)

契約者の自己負担額

解決金額との差額 ¥37,000,000

弁護士費用    ¥5,000,000

20歳の作業員の方が重度の後遺障害を負ってしまった事故で、会社と被害者の間で1憶5000万円の解決金で和解となった事案になります。以前であれば解決金が1憶円以内の和解がほとんどでしたが、逸失利益の高額化と将来介護費用や家屋等改造費用も請求される事案が増加し、1憶円の保険金限度額を超えて自己負担が発生してしまう事案が散見されます。

将来介護費用や家屋等改造費用は重度後遺障害を負ってしまい被災者がその後に生きていくために必要になる費用となる為、死亡案件より後遺障害の案件の方が損害賠償金は高額になる傾向があります。

労災訴訟の賠償金の高額化の8つの要因

保険会社で実際の保険金の支払いの実務を行う社員が感じている高額化の要因をまとめた内容がありましたのでご紹介します。

1.転倒等による頭部外傷・頸椎損傷

打ちどころが悪く寝たきりや常時介護が必要な状態になる可能性が高く、介護費用や就業能力の減退により逸失利益が高額になるケースが多い

2.過労による脳・心臓疾患

重い後遺障害を残す可能性があるため。脳や心臓疾患は血液が滞り低酸素状態になることがあり、脳は低酸素状態に弱く後遺障害を残す危険性がある

3.医療の進歩により、重篤な症状でも生命維持

医療の進歩は素晴らしく、今まで亡くなってしまった重篤な症状でも生命維持が可能になったため医療費がかかるようになった

4.勤務先への賠償請求に躊躇がなくなる傾向

愛社精神が昔に比べて希薄になっているため

5.インターネットなどにおける権利意識を刺激する情報の氾濫

インターネットで簡単に労災訴訟に関する情報を入手できる

6.「労働問題」に目を向ける弁護士の増加

労働問題を専門とする弁護士が増加している。実際に死亡案件や重度後遺障害にあった被災者の家族や被災者本人の多くは弁護士に相談している

7.外国人労働者支援団体を巻き込んだ事案

外国人労働者の増加にともない言語の問題によるコミュニケーション不足による事故も増加している

8.民法改正

法定利率が「年5%」から「年3%」に変更されたことによりライプニッツ係数が改定された結果、逸失利益や将来にわたる介護費用が増加

ライプニッツ係数とは

事故により死亡・後遺障害等が発生した場合、逸失利益や介護費用が発生します。

こうした「将来に亘って発生する損害」に対する全期間の補償を一括して受け取った場合、

そのお金を運用することにより毎年利息収入を受け取ることが可能です。

この毎年発生する利息に相当するお金を差し引いた金額を算出するための係数を「ライプニッツ係数」といいます。従って法定利息が下がると利息相当額が下がるので、結果的に最初に一括して受け取れる金額が大きくなります。

20歳の作業員の後遺障害1級の逸失利益と将来介護費の一般的な計算例

基礎収入額の515万は平均給与を採用しており、被災者の実際の収入が平均賃金を下回る場合は平均給与を使用して計算するケースが多いようです

逸失利益=基礎収入額×労働能力喪失率×対象年数の係数

法定利息5%⇒515万×100%×17.423≒9100万円

法定利息3%⇒515万×100%×23.701≒1憶2376万円

将来介護費8000円×365日×対象年数の係数

法定利率5%⇒8000円×365日×18.418≒6800万円

法定利率3%⇒8000円×365日×26.166≒9656万円

今回のまとめ

ご紹介した事例のように高額化する労災訴訟の備えとして、使用者賠償保険の保険金額を1憶円では足らない可能性があるので2憶円や3億円の補償が必要な時代になって来ました。使用者賠償保険だけでなく、自動車保険や損害賠償保険などの対人賠償の保険金額も時代の流れに合わせて金額の見直しが必要だと思います。

 

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